さどトリコ

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世界にひとつ! 想いがこもった「本間尚子」さんの版画から佐渡を見てみよう

2021/06/11

あそぶ

・記事内容は公開日時点の情報です。新型コロナウイルス感染症の影響により予告なく変更される場合がありますので、詳細はそれぞれのお問い合わせ先にご確認ください。
・ご旅行中は佐渡の「新しい生活様式」を取り入れてお楽しみください。


こんにちは。
家の中で過ごす時間が長くなり、日常を少しでも楽しく過ごしたいと思う方が増えてきているのではないでしょうか。
私は部屋の壁に好きなイラストや写真のポストカード、パンフレット、作品を飾っています。
遠くへ旅行に行けない今、好きなもので囲まれた空間を見てみる。
すると、それぞれの世界に行けるような気がして元気が出てきます。

今回は私の部屋に飾っている中から、
佐渡在住の版画家「本間尚子」さんをご紹介します。

版画ってすごい!

本間さんのご自宅の壁 作品を壁に飾れるように板を設置したそうです

初めて本間さんの作品を見たときは驚きました。
「かわいくてカラフル! これって版画なんだ!」
私の中の版画の概念が変わった瞬間でした。
版画と聞いて思い出すのは、小学生の図工の授業で彫ったモノクロの版画。

彫ったところは白になるのか、黒になるのか…頭の中がごちゃごちゃになり、結局同じ部分ばかりを深く彫っていた思い出があります。
顔を彫るの、難しかったな~。

本間さんがどのように作品を制作しているのか気になり、今回はご自宅にお伺いして貴重なお話を聞くことができました。

仕事道具をチェック

そもそも木版画は、彫刻刀で彫った版木にインクをつけて紙にすりすりと摺り(すり)、作品をつくります。
大きい作品は1枚を摺り上げるのに2~3時間かかるそうです。

制作途中の版木と下書き

版木にはシナベニアという専用の板を使っています。
他の木の場合、例えば杉の木は木の固い部分に引っかかってしまうので、彫るときは一苦労なんだそうです。
ただ、木目や木の風合いを活かした作品にするときは杉の木を使うこともあります。
次は版木を彫る道具、彫刻刀です。

45度より鋭い角度の彫刻刀もある

彫刻刀の下にある版の線。なんて細かいんでしょう!
私が彫ったら全部平らになってしまいそうです。
大きい作品は彫るのが大変そうですが、迫力ある作品になりそうですね。
版木にインクをつけて、筆やハケを使って広げたら上から和紙をのせます。
そしてばれんを使って和紙に摺ります。

本間さん愛用のばれん

ばれんというと、まるでちまきで使う葉をつけたようなものをイメージした方もいたはず。
本間さんが使っているばれんは、小さいボールが転がるつくりをしています。摺る力の強さがよく伝わるそうです。

ちなみに版木は両面使い! 版木も大切に使っているのですね。
1枚の作品に対して版木5~6枚使っています。

正方形サイズの作品『うわの空の木曜日』で使用した版では、色合いの異なる青を表現されています。

これらを順番に組み合わせて摺ります
木曜日ってうわのそらになりがち

1枚1枚が特別

本間さんが保管している作品を出していただきました。
作品名は『広い世界』。
こちらは版木に杉の木を使っているため、日の出部分に木目が浮かびあがっています。

『広い世界』を並べました

よく見ると、作品の下には名前の他に数字やアルファベットが書いてあります。

下に本間さんの直筆で書いてあります

気になることがいっぱい! 本間さんがエディションナンバーについて丁寧に教えてくれました。

A/P はアーティスト・プルーフのことで、作家が保管しておく1枚です。何回か摺って他と風合いが違うものにつけることが多いそうです。

1/10は10枚刷った作品のうち1枚という意味です。何枚摺るかは作家次第。

基本的には、あまりにも摺りすぎてしまうと同じクオリティで作れなくなってしまうため枚数を決めています。本間さんは作品をたくさん作りたいという想いもあり、現在は10枚程度にすることが多いそうです。

ちなみに、作品番号の数字は若い番号だから1番初めに刷った、1番上手くできたというわけではないんですって。奥が深いです。

じっくり見てみると、同じ版を使って摺った作品でもそれぞれ印象が違います。

作品『広い世界』を近くで見てみましょう。

トキを囲む線が見えますか?

グレーの線を出すのにも、版を摺る順番が考えられています。
鳥のモチーフは見る人が自分と重ね合わせて夫婦や家族など例えられるので、登場することが多いそうです。
実際に佐渡島内の自然が多いところで耳をすますと、鳥の声が聞こえてきます。いつの間にか鳥に親しみを感じています。

版画ができるまで

作品ノートは3冊目

シルクスクリーン

本間さんは木版画以外にも、シルクスクリーンという技法を使って作品をつくります。
孔(あな)を開けて版をつくり、そこからインクを通して刷る方法です。
本間さんのポストカードは主にシルクスクリーンで制作しています。

こうやって摺ります
ポストカード 『とまる』

本間さんの作品を見るには?

今までにさどトリコでご紹介したお店の中でも、作品が飾ってあったり、グッズを取扱っていたりします。本間さんのファンが多いんです!

乗船までの暇時間!佐渡・両津港でなにする?見どころ紹介 – さどトリコ(サドトリコ・さどとりこ) (sadotrico.jp)

こちらの記事で紹介しているカフェ、maSani coffee(マサニコーヒー)では本間さんの手ぬぐいとポストカードを販売しています。ポストカードは310円、手ぬぐいは1530円です。お土産にいいですね。

求めやすい価格で身近に作品を

店内では、水玉が印象的な『トキオ』や『トキコ』、季節ごとの作品が飾ってあり、港で過ごすくつろぎの時間を作っています。

コーヒーを飲みながら作品鑑賞
『2010』

また、木版画の作品は相川にある佐渡版画村美術館にて購入できます。

佐渡版画村美術館 | さど観光ナビ (visitsado.com)(さど観光ナビへ)

本間さんの佐渡で暮らす想いが込められた作品に、皆さんそれぞれの気持ちを込めてみてはいかがでしょうか?

【本間さんの作品はこちらでも観れます】

どちらも注文したい! 「のらねこ」で食べるスープカレーと週替わりパフェ – さどトリコ(サドトリコ・さどとりこ) (sadotrico.jp)

佐渡にできた新しいお店。「山下食堂」でほっこりランチはいかが? – さどトリコ(サドトリコ・さどとりこ) (sadotrico.jp)(展示のみ)


本間尚子さん WEB SHOP】 shoko honma (thebase.in)



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