さどトリコ

佐渡汽船社員が実際に行って見て感じた、
佐渡のとっておき情報をお届け。

佐渡の楽しさを余すことなくお伝えします。

お客様が乗れない佐渡汽船の船!?「日海丸」前編 【2022年7月更新】

2020/10/09

ふね

※この記事は2020年10月に掲載したものを2022年7月に最新の内容に更新したものです。


こんにちは。いつも佐渡汽船をご利用いただきありがとうございます。
ついに告白します。実は、佐渡汽船の船の中には、残念ながら皆様にご乗船いただけない船があるのです。どんなにお金持ちの方でも、船が大好きな方であっても、こればかりはできないのです!
その船の名前は、日海丸(にっかいまる)。新潟~両津間を運航しています。

これが日海丸

皆様がいつも乗っている「おけさ丸」「ときわ丸」と「日海丸」。一体何が違うのでしょうか?どうして乗れないのでしょうか!?

「日海丸」は〇〇船だった!

白いボディに青ライン

車や電車に種類があるように、船にも種類があります。船のお腹の中に物が入る船、かっこよく言うと車両を収納する車両甲板を持つ船をRoll on / Roll off Ship 、略してRORO船(ローローせん)と呼びます。おけさ丸、ときわ丸、日海丸はどれもRORO船です。
では、船の中に入るもので比べてみましょう。
カーフェリーは、人はもちろん、皆様のバイクや車、観光バス、トラックを載せることができます。
※ちなみに、ジェットフォイルには車を載せることができません。

カーフェリー「おけさ丸」の車両甲板

対して、「日海丸」のお腹の中には、貨物しか入れません。荷物を運ぶ船を貨物船と呼びます。貨物船にも種類がありますが、新潟~佐渡間はRORO船だけです。

「日海丸」船内

つまり、「日海丸」は貨物専用の貨物船なので、お客様は乗船できないのです!

荷物を運ぶときにはこれを使う!

貨物を運ぶときは、佐渡島内の方面別に貨物をまとめてコンテナという大きな箱を使って運びます。
鉄でできているため丈夫で、運送中の衝撃にも耐え、たとえ人が上に乗ってもびくともしません。

積み上げたコンテナ。1つのコンテナは高さ約2m!

コンテナはとても重く、人の手で動かすのは大変。
そこで、フォークリフトという機械で動かして積み込みます。

下の穴につめをさして運ぶ

 ちなみに、青いコンテナは冷蔵庫など背の高い貨物が入るようになっています。

左のコンテナは少し飛び出ている

貨物の運び方

新潟~佐渡間の貨物は、「日海丸」とカーフェリーで運んでいます。コンテナの運び方はカーフェリーと「日海丸」で異なります。
カーフェリーの場合、フォークリフトを使い、トラックにコンテナを載せます。そしてトラックごと船に入ります。
「日海丸」の場合は、基本的にはフォークリフトごと船の中に入り、コンテナや長尺の貨物を置き、フォークリフトは岸壁に戻るという流れです。2トンコンテナは船内に103台まで積載可能!

Q. 「日海丸」は何を運んでいるの?

A.  主にカーフェリーでは運べないものを運んでいます。
メインは危険物。
例えば、佐渡でお風呂に入るときのお湯を沸かすために必要なガスを運びます。佐渡島内の場所によって使用するガスの種類が異なり、旧両津市は都市ガス、旧両津市以外はプロパンガス(LPガス)を使用している場合が多いそうです。どちらも船で運んでいます!
ガスはタンクごとリフトで載せます。新潟から運び、佐渡からは空の容器を運びます。

このタンクを
持ち上げちゃいます

LPガスのタンクは、コンテナ2台分の幅を使います。1航海に10本搭載。

他に新潟から運ぶものは
・家を建てるための材料(コンパネなど)
・マンホールや下水道の管(長さは約2m!)
・キャタピラー式の重機
・病院で使用する酸素
・小木港祭りなどで使う花火(3尺玉も!)
などなど。
どれも暮らしに必要なもの。佐渡島内のライフラインは日海丸が支えています!

そういえば、昔と今では運ぶ商品が少し変わってきたそうで、介護施設で使用するものが増えたとのこと。こんなところにも年代の移り変わりが来ていました。

~「日海丸」1日のルーティーン~

1/1~1/4及び原則として毎週月曜日を除いて運航しています。
AM 3:30 新潟港出航(なんて早い!)

片道3時間で両津港に到着

AM 6:30 両津港到着
すぐに新潟からの貨物を揚荷(あげに)。
ほとんどの貨物はコンテナごと運送会社のトラックに引渡します。細かい貨物はコンテナから出して分けます。
その後、佐渡から運ぶ貨物を積み込みます。
佐渡から運ぶものは
・全国に配送する特産品(お米やお酒など)
・使用済自動車
・農機具
・空のコンテナ
などなど。

「酒」「リフト注意」など中身に応じて注意ラベルを貼ります

AM 11:10 両津港出航
PM 2:10 新潟港到着
約1時間かけてフォークリフト3台で揚荷をします。

見学中に秋を感じた瞬間。新米! 

佐渡産コシヒカリ!

機械が機械を運んでいる~!使われなくなった中古の農機具は海外へ行きます。

見学中の女子のコメント「すごい」「かっこいい」

そして新潟から佐渡へ運ぶ荷物量の方が多いので、時間をかけて積み込みをします。
そこからすぐに出航!ではなく、翌日まで新潟港で停泊します。
なぜ!?
それは佐渡島内に新聞を運ぶから!
新潟の地方紙「新潟日報」の朝刊を印刷所がある新潟市の黒崎本社印刷センターからコンテナ2台分運びます。
約1万部、重さは約3トン。
他にも東京から届く全国紙を載せます。
そのため、貨物を船内に積むときは翌日の新聞が入るコンテナのスペースを空けておきます。
こうしてまた明日の朝に新潟港を出航します。

夏は特にハードワーク

まるでハチみたい

カーフェリーは夏場、特に帰省シーズンの午前便やお昼便は、より多くのお客様にご利用いただけるように車の積載数を優先します。そうするとカーフェリーで運ぶ予定だった貨物の運送が予定より遅くなってしまい、島民の方が困ってしまいます。
そこで登場。「日海丸」! 助太刀いたします。
新潟~両津の往復数を2往復に増やして運航します。
ただし、「日海丸」が積載できる2トンコンテナは103台。元々日海丸で運ぶ貨物の中で載せきれなかったものは、朝と昼に比べて車の積載が少ないカーフェリーの夜便で運ぶという連携プレー。カーフェリーでは危険物が運べないので、スムーズな段取りが求められます。
縁の下の力持ち!

次回予告

ワクワク

次回、「日海丸」に潜入して船の中を探検します!
どこに行けば「日海丸」に会えるのかも公開します。お楽しみに!

続きが読みたい!
お客様が乗れない佐渡汽船の船!?「日海丸」後編

佐渡への旅はこちらから

LINE

X

facebook