さどトリコ

佐渡汽船社員が実際に行って見て感じた、
佐渡のとっておき情報をお届け。

佐渡の楽しさを余すことなくお伝えします。

佐渡の器で良い暮らしを。陶工房「弥七郎」のお皿で日常に彩りをプラス。

2020/10/30

あそぶ

・記事内容は公開日時点の情報です。新型コロナウイルス感染症の影響により予告なく変更される場合がありますので、詳細はそれぞれのお問い合わせ先にご確認ください。
・ご旅行中は佐渡の「新しい生活様式」を取り入れてお楽しみください。


みなさんこんにちは!

Twitterで最新情報を集めるのが日課になりつつあります。そんなある日、以前お世話になった吹上農園さんのアカウントで気になる投稿を見かけました。

URLをクリックすると、おしゃれな陶器のWEBショップが出てきました。

『佐渡島の陶工房弥七郎のお店です。』

佐渡で陶芸をされている方がWEBで陶器を販売しているようです。
サイト内はカラフルでおしゃれな食器がずらっと並んでいます。
見ているだけでワクワクしてきましたが、気になることも出てきました。

「こんなおしゃれな食器を佐渡で作っているの?」
「誰がどうやって?」
「吹上農園さんとつながりがあるの?」

気になったので、まずは吹上農園さんに聞いてみることにしました。
やはりお知り合いだそうで、連絡先をいただき、取材の申込をしたところ許可をいただきました。
ありがとうございます。
佐渡って何かしらどこかで繋がっていますね。
ご縁を感じました。

工房は金井地区にあります。

金井地区はちょうど佐渡の真ん中らへん

工房があるのは、金井地区。椿屋陶芸館とトヨタカローラの間の道を真っ直ぐ進んで途中から砂利道になりますが、更に進んでいきます。

この際なので正直に言います。途中から「本当にここ?」と不安がよぎりました。ごめんなさい。

その先に「国三窯」(くにぞうがま)の看板が見えたら左折します。

夫婦二人三脚の「弥七郎」

色とりどりの食器がディスプレイ。奥のショーケースには無名異焼も

不安な気持ちを打ち消すかのように、陶工房「弥七郎」の代表の渡辺さんが出迎えてくださいました。写真を撮り忘れましたが、とても優しそうな女性。ありがとうございます!

さっそく工房にお邪魔しました。

そこには、無名異焼(むみょういやき)をはじめ、カラフルな陶器がずらっと並んでいました。

ころんとした形がかわいい

「わ~、かわいい~」

取材班の女子たちから「かわいい」が連発。
取材そっちのけで品定めに入りかけたので、さっそく渡辺さんにお話を伺いました。

「『弥七郎』(やしちろう)というのは、夫が現在住んでいる家の屋号なんです。そこは夫の祖母の生家で、屋号の『弥七郎』からとりました。」

つまり、「弥七郎」というのは屋号で、それをお店の名前として使っているのです。
ちなみに、渡辺さんのご実家は無名異焼窯元「国三窯」(くにぞうがま)です。旦那様は佐渡に移住して結婚を機に、陶芸を始めました。陶芸を始めて25年ちょっとになるそうです。
夫婦2人で作品を作る工房が「陶工房 弥七郎」なのです。

ちなみに、WEBショップでは屋号にちなんで数字の「876」にしているんだとか。
ショップ名を数字で表すのってなんかおしゃれ~。

無名異焼と信楽焼

お馴染みの無名異焼

弥七郎では「無名異焼」と「信楽焼」の両方を作陶しています。

「無名異」とは二酸化鉄を含んだ朱い土のこと。これを沢根産の粘土と混ぜた陶器が無名異焼です。詳しくは過去のブログでも紹介しています。

土をさわって楽しく陶芸体験!「椿屋陶芸館」で佐渡の無名異焼を手作り インドア派も雨の日も大満足!

無名異焼は窯に入れて焼くと3割も締まるため、頑丈で釉薬(ゆうやく)を塗らなくても水が漏れることはありません。なので、このような赤土色をしている作品が多いです。

ちなみに、無名異焼でワインや水、コーヒーを飲むとまろやかになり香りも違います。キンキンに冷やしてビールを注ぐと、きめ細かい泡ができるので個人的に超おすすめ。

カラフルなこの子は信楽焼

それに対し、渡辺さんが作っているカラフルな「彩りシリーズ」の陶器は「信楽焼」です。渡辺さんは学生時代に京都で陶芸を学び、今も京都から土を取り寄せています。

信楽焼は1割しか締まらないため、水漏れ防止のために釉薬を塗ります。
こんなにカラフルなのは粘土に顔料を混ぜた釉薬を塗っているからなのです。

この「彩りシリーズ」は15年くらい前にブルーと白の制作を始めました。今では、黄色、レモンイエ
ー、グリーン、ピンクを制作し、「彩りシリーズ」になりました。

「土は生き物。」全て手作りで、完成までは約1か月。

シックな色もあります

一つの作品が完成するのに約1か月かかります。
ざっくりの工程はこちら


・形をつくる

・乾かす

・削る

・色付け

・乾かす

・窯焼き(素焼き。冷めるまで窯に4日間入れっぱなし)

・釉薬をかける★

・窯焼き(本焼き。冷めるまで窯に約4日間入れっぱなし)

ここで★のビフォーアフターをお見せしましょう。

左:かける前 右:かけた後

釉薬をかける前の素焼きの皿はザラザラして乾いている印象。釉薬をかけるとつるつるして色に深みが出ます。

季節によって気温や湿度が異なるため、乾き具合も時期によって異なります。冬は土に含まれている水分が凍り、夏は器の半分だけ乾くなど。窯を開けてみてゆがんでいたり割れていたりすることもあるそうです。

渡辺さんいわく、

「全部手作りです。土は生き物のため、すべてが成功するわけではないです。」

今でも窯を開けるときは「割れないでくれ~」と祈りながらやっているそうです。にこにこしながら話してくださいましたが、きっとご苦労がたくさんあるはず。大量生産ができるこの時代に、一点ずつ手間暇をかけて作り上げているお話を聞くと、作品が愛おしくなってきます。

無名異焼をもっと身近に

目が合った子を連れて帰ろう

猫の置物。箸置きとしても使えます。ちなみに私はこの後、右端の三毛猫を連れて帰りました。

鳥がいっぱい

鳥のブローチと、手前はトキの箸置き。

このトキの箸置きは渡辺さんのお父様がボウタイでデザインしたものを、箸置きとしてアレンジしたもの。お土産にちょうどいいですね。

裏はこんな感じ

無名異焼のブローチもビーズがついてキラキラです。裏は安全ピンがついています。

無名異焼のピアス。この細かさは職人技

一番驚いたのは、無名異焼のピアスもあること!無名異焼のビーズは、一般的なビーズの大きさと遜色ないです。この細かさを作れと言われても、私には到底できません~。

実際に手に取って感じてほしい

どれにしようかな。選ぶ時間も楽しい

「弥七郎」にちなみ、2020年8月7日6時からWEBショップをオープンさせました。
佐渡に直接来られない人にはWEBショップは便利ですね。
ただ、一点ずつ手作りのため形や重さも微妙に異なり、サイズや重みを伝えにくい点もあります。
「できれば対面で話をしながら、手に取ってもらいたい」と渡辺さんは考えています。
オンラインショップでは載せていない作品もあるので、ぜひ工房に見学に行ってみてはいかがでしょうか。

その際は事前連絡をお忘れなく!

(後日談)実際に使ってみました

栗ご飯と共に

一緒に行った後輩が「彩りシリーズ」で人気のブルーのボウルと箸置きを購入し、実際に使ったというので感想を聞いてみました。

「見た目よりも軽いです。あと、意外にたくさん入るので、たくさん食べちゃいました★」
と、幸せな回答が返ってきました。
他の食器と重さを比べるなど、器に対する見方も少し変わったそうです。
丹精込めて作った佐渡生まれの食器で、皆様の日常に彩りを加えてみてはいかがでしょうか。


陶工房 弥七郎(とうこうぼう やしちろう)

【住所】新潟県佐渡市貝塚1025-1
【WEBショップ】https://yashichirou876.stores.jp/
【Instagram】https://www.instagram.com/tami0501/
【Twitter】https://twitter.com/y2yizJQDRUIdcUt

※仕事内容により見学できない場合もありますので、事前にInstagramかメールにてお問い合わせください。


佐渡への旅はこちらから

LINE

X

facebook